フランシス・ガヌーは、カメルーンの貧しい家に生まれ、6歳の時に両親が離婚して親類に育てられました。
授業料が払えず、学校もろくに通うことができませんでした。
12歳から砂の採取場で働きはじめ、26歳の時にプロボクサーを志してヨーロッパに渡ります。
難民としての旅が、1年も続きました。文字通り、ごみ箱をあさることもあったそうです。
しかし、不法入国だったために収監され、その後はパリでホームレスになってしまいました。
半生を見る限り、ガヌーは世界のどこにでもいる、途上国出身の不遇な若者のひとりに過ぎませんでした。
しかし彼は、自らを見捨てませんでした。飛び込みでジムと交渉し、無料でトレーニングさせてもらう約束を取り付けます。
その後、総合格闘技ジムのオーナーに素質を見込まれて住居も探してもらい、ホームレス生活を脱しました。
アスリートとしては遅いスタートでしたが順調に白星を重ね、30歳を目前にして世界最高峰の格闘技団体UFCと契約。
強豪を次々と撃破し、34歳にして最強王者ミオシッチをKOで下し、見事世界ヘビー級王者となったのです。ホームレスとなってから、8年後の事でした。
青年の可能性は、無限大です。決して、一時的な挫折で将来を悲観してはいけません。
かのディズニーもエジソンも、青年時代にホームレスを経験しています。しかしそれは人生の終わりではなく、世界を変える偉大なキャリアの始まりだったのです。
今、この瞬間が久遠元初です。時間は未来だけに向かって突き進んでいきます。過去など関係ありません。
また、大人たちは不遇な青年への助力を惜しんではならないでしょう。
これまで一度たりとも自分の過去を恥じたことなどない。
同時によく分かっているんだ。多くの人が自分が経験したのと同じような苦境にいて、つらい思いをしていて、世の中の最低水準に達しない幼少時代を送っている。
人生がフェアじゃないのは、君のせいじゃないんだ。
時として君は、このフェアじゃない人生を“自分がいけないんじゃないか”って思う時があると思う。でもそうじゃない。 子ども時代に叶わないいろんなこと、たとえばあるスカラシップ(奨学金制度)に応募して落選したからといって、それは君のせいじゃない。
そこは両親がきちんとチャンスを与えられないことが問題なのであって、君に責任はない。
履く靴がない、それは君のせいじゃない。ペンだとか、いろんなものを持ってない、それも君のせいじゃない。
とにかく今の自分にできるベストを尽くして行動するしかない。
(2021/3/27世界王座獲得インタビューより)
こうした偉大な青年を日本のメディアがほとんど取り上げないのは、あまりにも残念です。