これは公明党に限らないかもしれませんが、議員が法学部出身者に偏り、経済に弱いことは、大きな弱点です。
今回の衆院選で、公明党の候補は全員が「消費増税に賛成」と主張していました。
それは、票を落とすのが当たり前です。
軽減税率はあくまで増税が避けられない場合の最後の抵抗であって、増税そのものが止められればそれに越したことはありません。
事実、過去2度の増税延期に、公明党はすんなりと賛成しています。
もし予定通り10%に上げていたなら、現在の株高も、企業の利益増も、個人の資産増も無かったでしょう。
すでに衆院に民進党は存在せず、したがって3党合意は完全に過去のものになっています。
消費税については3党合意の延長線上ではなく、与党内でゼロベースで議論し直すべきです。
もともと、安倍総理はアベノミクスの足を引っ張る消費増税には否定的です。2度の増税延期がそれを端的に物語っています。
当初、8%への増税を実行したのは、3党合意の主導者である谷垣幹事長(当時)のメンツを守るためでした。
この判断ミスが、デフレ脱却を阻む最大の要因となっています。
その谷垣も頸椎損傷で引退に追い込まれ、自民党内でも増税派の勢いは大きく弱まっています。
10%への増税を阻止できる確率は高まっています。
もちろん有権者は公明党が軽減税率導入を実現したことはわかっています。
それでも票が伸びないのは、最低税率8%では、やはり高すぎるからです。これは国際的にも最高水準です。(
先進国では最低税率は0から4%が一般的)
イギリスでは、住宅も食糧品もゼロ課税です。
実際、10%と8%では2%しか差がありませんから、気休め程度の意味しか持っていません。
やはり軽減税率は5%以下でないと生活者を守る意味を持たないでしょう。
そうなると必ず財務省が「財源が足りなくなる」とイチャモンをつけてきますから、代替財源についてはしっかり理論武装しておく必要があります。
このブログで提唱したいのは
「
日本政府の金融資産500兆円を計画的に取り崩す」
というプランです。
日本政府は、700兆円近い資産を保有しています。
そのうち、道路や空港など売却できない「有形固定資産」は200兆未満です。
大部分は換金が可能です。
例えば、
年金積立金や外為資金はそれそれ100兆円以上の規模を誇りますが、
日本以外にこんな巨額をプールしている国はありません。
せいぜい1割未満の規模です。
つまり、9割は取り崩しても問題ありません。
毎年5兆ずつ取り崩しても、100年間使える「超安定財源」です。
何百兆という資産がブタ積みされているにも関わらず、まだ足りないと言って増税しようとすることこそ、行政のモラルハザードではないでしょうか。
増税は100年先でも遅くありません。
特に、数百兆にも膨らんだ対外純資産を取り崩すことが最優先です。
デフレは「円(日本政府)の市場評価が高すぎる」ことを意味するので、保有資産を減らすことで、インフレ圧力を生み出すことができます。
資産と負債はバランスしています。負債がそのままでも、資産が減少すれば、全体として負債の割合が高まるので、円の信用が適度に下がり、インフレに誘導できるのです。
財政再建しないと破綻する(だから消費増税は必要)という意見も、誤りです。
財政再建派の方に訊きたいのは、
「いつまでにいくら返済しないと破綻するのか」
ということです。おそらく、日本の誰にも答えられないはずです。
なぜなら、
1000兆円くらいの借金ならば、半永久的に返さなくても破綻しないからです。
これは、国債の大部分を日銀と国内の銀行で引き受けているからです。
日銀は政府の子会社なので、いくら貸し借りしても連結決算ではプラマイゼロです。
また民間の銀行には、国債を半永久的に買い続けることが法律で義務付けられています。
つまり、政府の借金1000兆円は、事実上の永久債なのです。今はマイナス金利なので、金利の支払いを問題にする必要もありません。
もちろん、無限に借り続ければいつかは円の信用が落ちてインフレになりますが、デフレから脱却できない現時点では、もっと借りてもいいくらいです。
少なくとも慌てて返す必要はなく、借金を増やさないだけで充分です。
自公連立政権が財政再建を後回しにして教育費の無償化に踏み切ったのは、政策として200%正しいのです。
もちろん、専門家ならもっといいアイディアがいくらでもあるはずです。
小泉総理に竹中平蔵がいたように、公明党は、しっかりした経済学者のブレーンを雇うべきなのです。