地上での全ての闘いを全うし、元プロボクシング世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリが天に帰りました。
世界中が「ザ・グレイテスト」の死を悼んでいます。
アリは、リングの上で戦うだけではありませんでした。
人種差別と闘い、徴兵拒否でアメリカ政府と闘い、引退後は難病パーキンソン病とも闘い続けました。
人は生涯、闘魂を燃やし、巨大な敵に立ち向かわなければならない。
アリの人生は、それを体現しています。
「ベトナム人は俺を差別しなかった。だから俺にベトナム人を殺す理由は無い」
アリは、このようなシンプルな理由で徴兵を拒みましたが、この哲学にこそ、戦争を終わらせるカギがあります。
戦争とは、一部の老人たちの利益のために、若者に殺し合いをさせる制度です。
若者同士には、個人的な憎しみはありません。元来、殺しあう理由など存在しないのです。
闘いに命を懸けてきたアリだからこそ、誰よりも敏感に戦争の卑怯に気づいたのでしょう。
アリは、20年に及ぶプロ生活の中で、1度もKO負けがありませんでした。これは歴代ヘビー級王者の中でも稀です。
たとえダウンを奪われることがあっても、アゴを割られた時でさえ、勝負を諦めることなく立ち上がり、最後まで闘い続けたのです。
闘いに命を懸ける。それこそが、技術論を超えた、アリの強さの秘訣でした。
アリには、ヘビー級にしてはパンチ力が弱いという、ボクサーとして致命的な欠点がありました。
しかし、魂それ自体の強さによって、見事そのハンディを乗り越え、世界一となったのです。
その不屈の闘魂は、全ての若者にとって、永遠の模範であり続けるでしょう。