21世紀への対話より
私はあくまでも死刑は廃止されるべきだと考えます。
もし何らかの社会的な犯罪抑止力が必要ならば、死刑以外の方法を考えるべきです。
もし死刑が許されるものとするならば、戦争を起こし、核兵器を使用する魔性の人こそ、死刑に処せられるべきでしょう。といっても、私が死刑を認めるというのでないことは、よくお分かりいただけると思います。
国家が凶悪犯を死刑に処すならば、国家自体が殺人を行っていることになります。
仏法においては、たとえ無差別殺人鬼であれ、宇宙の意志でこの世に生まれてくると考えます。
したがって、その命を奪うことは、宇宙意志に逆らう行為とされるのです。
すでに獄につながれ、犯罪を実行する実力を持たない囚人を、あえて死に至らしめる必要はありません。
個人による殺人は違法なのに、国家の殺人を合法とみなすのは、まさに国家主義であり、戦争を正当化する悪魔の思想です。
世界的に見ても、終身刑を以て極刑とする国が大半であり、日本のように死刑を残している国は少数です。
いわゆる無期懲役は「懲役が定まっていない」という意味であり、模範囚であれば仮釈放や出所の可能性があります。
これは極刑としては軽すぎるため、国民が死刑制度の廃止に反対する一因となっています。
何より、死刑には執行後に冤罪が判明しても取り返しがつかないという最大の欠点があります。
日本でも死刑を廃止し、仮釈放なしの終身刑を導入すべきでしょう。