全身を覆っている角質は、細胞としてはすでに死んでいます。また、だからこそ全身を守る機能を果たせます。髪や爪も同じです。
死は決して無価値ではなく、死によってはじめて創造される価値もあります。
人は毎日、動植物の「死骸」を食べて命をつないでいます。木材も石炭も石油もプラスチックも、要は死骸です。
誰かの「屍」が未来世代の命をつなぎ、生態系は拡大し続けてきました。
個としての生命の目的は、「屍を創り出す」ことなのです。
仏だろうと虫けらだろうと、最後は必ず屍となります。一切衆生は残酷なまでに平等です。
有情と非情を往復しながら、永遠に姿を変え続けていくのが、三世に渡る生命の営みです。
死は決して忌み嫌うものではありません。
我即大宇宙の境涯であれば、死もまた新たな希望にあふれた旅立ちなのです。
またそれゆえ、最高の死を迎えるために、現在の肉体を粗末にせず、最高の生を生ききらなければならないのです。