日興上人は「與(あたう)大衆書」の中で、対話のやり方についてご指南されています。
その中で、
「相手が学匠のようなふりをして難解な法門を尋ねてきたら、私には分からないと答えなさい」
とあります。
法門の一切に精通することは、誰にも不可能です。
負けず嫌いで知ったかぶりをしても、結局はぼろが出ます。かえって法を下げてしまいます。
また、仏法対話は喧嘩ではないので、言い負かす必要などありません。
枝葉の知識を競うのは、愚かなことです。
もし重要な法門に答えられなかったら、信頼できる先輩に教わればいいのです。
自らの無知・無力を悟ることも、また重要な仏道修行といえるでしょう。