日蓮大聖人は極楽寺良観との祈雨対決に勝利した他、竜の口にひかりものを呼び寄せ、鎌倉の空で日天を2つに割り、蒙古襲来の時期を予言して的中させるなど、数々の法力を示されています。
法論はもちろんのこと、法力においても、天下一であられたのです。
仏法は観念ではありませんから、修行すれば如来秘密神通之力が備わります。
そもそも、私たち法華信徒の祈りが日常的に叶うこと自体、信心を知らない人から見れば、魔法にしか見えないでしょう。
ギャンブル狂で借金ばかりしていた人が、信心を始めて資産家になってしまうようなケースは、「錬金術」そのものです。
ただし、神通力は外道や爾前経の修行でも身につく場合があります。
これらの神通力は生命力を奪い、かえって破滅の因になります。いわゆる黒魔術です。
神風を呼んで蒙古の船を沈めたのは、真言師の祈りだと言われています。
しかし、
神風が仏の法力ならば、なぜ蒙古兵を大勢殺生する必要があったのでしょうか?
これはむしろ呪いの類と見るべきです。
事実、元寇によって鎌倉幕府は急速に弱体化し、日興上人御入滅の年に崩壊しています。
「真言亡国」のジンクスを覆すことはできなかったのです。
神通力は万能ではなく、宿命転換するには妙法の力しかありません。
大聖人は、ご自身が天下一の法力の持ち主でありながら、
「唯仏の遺言の如く一向に権教を弘めて実経をつゐに弘めざる人師は権教に宿習ありて実経に入らざらん者は或は魔にたぼらかされて通を現ずるか、但し法門をもて邪正をただすべし利根と通力とにはよるべからず(唱法華題目抄)」
と仰せになられています。
神通力はお題目の妙力のほんの枝葉に過ぎず、驚くほどのことではないのです。
法華経を離れて、決して神通力を正しく活かすことはできません。
お題目だけが、衆生を救える唯一の「白魔術」なのです。