新・人間革命「友誼の道」より
「山本先生! 創価学会は、中国で布教してくださっても結構ですよ」
「その必要はありません。今、中国は、毛沢東思想の下で建設の道を歩んでいます。その中で人びとが幸せになっていけば、それは仏法にもかなったことになります」
布教はしなくとも、信義の語らいを通して、中国の指導者たちが仏法で説く生命の尊厳や慈悲などの哲理に共感していけば、その考え方は、あらゆる面に反映されていくに違いないと確信していたのだ。
もちろん今では中国にも大勢の同志がいるはずですが、香港を別としてSGIは結成されていません。
日本のように、一律に組織を結成して布教を進めていくことが、どの国でも最適のやり方とは限らないのです。
中国のように、共産党が国のすべてを指導する体制においては、党指導者との対話こそが、立正安国の実現につながります。
だからこそ池田先生は、一貫して中国のトップと対話を続けてこられたのです。
組織はあくまで方便であり、異体同心の本質ではありません。
時代や場所によって、和合僧の姿は大きく変わっていきます。
そもそも、かつては絶対条件とされていた「僧俗和合」ですら、事実上過去のものになっています。
いかなる形式にもとらわれず、時代に即応して、柔軟かつ大胆に広布を進めていくことが求められています。