2005年の郵政選挙において、公明党は比例区で898万票を獲得しました。
1000万の大台を超えるのも、時間の問題と思われました。
しかし、その後は得票を減らし続け、今回は史上最低の698万票でした。
たった12年で、ちょうど200万票も減らしてしまったのです。
これは、支持母体である創価学会の世帯減だけでは説明できません。
明らかに、党・議員に責任があります。
一言でいうと、ここまで票が減った原因は、「組織票への過信・甘え」にあります。
票が減り始めた時、公明党は原因を学会の世帯減に求め、根本的な反省と出直しをしようとしませんでした。
組織票に守られているから地位は安泰という認識が蔓延し、規律の低下がもたらされました。
ベテランは引退を拒み、世代交代は遅々として進みません。
「日本唯一の大衆政党たれ」という立党精神を見失い、組織政党の殻に閉じこもった結果が、今回の敗戦に現れています。
日本には、真実の大衆政党がなかった。
多様な大衆に深く根を下ろし、大衆の味方となり、仏法の慈悲の精神を政治に反映させゆく政党が、今こそ躍り出るべきであろう。
※新・人間革命「衆望」より
そもそも「組織票 = 固定票」という認識が大きな誤りです。
内票が800万前後としても、毎回必ず公明党に入れるのは半数くらいでしょう。
残る半数は、政策や人柄で毎回投票先が変わる「内部浮動票」です。
外票ならなおさら、政策や人柄で大きく変動します。頼まれただけで投票するほど、有権者は愚かではありません。議員をしっかり見ています。
議員の言動によって、数百万単位での増減は常にありうるのです。
少なくとも、この12年間で、公明党の政策が大衆の期待から離れていったことは否定できません。
具体的には、まず3党合意による「消費増税の容認」という大きな変化がありました。
それだけならまだしも、8%からの軽減税率導入をあっさり諦め、支援者を失望させています。
共産党なども、以前は「5%に戻す」と主張していたのが、いつのまにか8%容認に転じ、案の定大きく議席を減らしています。
大衆はバカではありません。どの党が何を言っていたか、ちゃんと覚えています。
庶民からすれば、最低税率8%は高すぎます。せめて5%を目指すべきです。
今回詳しくは述べませんが、消費税を下げても財源には困りません。法学部出身者に偏り、経済通が少ないことも公明党の弱点です。
さらに、安保法制は地方で離党者が出るほどの大激論となりました。
法制の中身はともかくとしても、党内議論を途中で打ち切って執行部が独断で自民と話をつけたやり方は、民主的とは言えませんでした。
これによって執行部の求心力が低下し、規律が緩んだ面もあろうかと思います。
特に、執行部経験者は定年を厳密に守るべきです。全議員の模範である執行部が「お手盛り」でルールを曲げるようでは、党内の規律が保てなくなるのは自明の理です。
憲法についても、かつては「9条を堅持した上での加憲」というわかりやすいものでしたが、最近はあやふやな表現を用いているため、改憲勢力とみなされてしまっています。
明確に「9条を変える必要はない」と言い切るべきです。それが池田先生のご意見でもあります。
議員特権の改革も、全く進んでいません。
国会議員には年間1200万円もの経費(もちろん全額非課税)が支給され、領収書の添付も義務付けられていません。
あまりにも規律に欠けています。愛人に貢ぐ議員が出てくるのは当然です苦笑
まず公明党が率先して、領収書を公開すべきです。
腐敗の予防にもなります。
議員と支援者がこの「暗黒の12年間」を反省し、根本的に方針を転換しなければ、今後も得票は減り続けるでしょう。
繰り返しますが、公明党は断じて組織政党ではなく、あくまで大衆政党です。
大衆の支持が無ければ勝てません。向き合うべきは大衆です。
今こそ、党内に巣くう慢心と油断を徹底的に叩き出す時なのです。