21世紀への対話より
生命自体には、もともと過去・現在・未来という現象的時間の区別は存在しないと考えられます。
そのような区別は、生命が肉体と精神とをそなえた存在として具体的活動を営んでいくとき、初めて現れるにすぎないものといえましょう。
生命の発動がなければ、時間も空間もありえないでしょう。
熟睡すると、あっという間に朝がやってきます。
この事実からも、生命にとって時間が伸び縮みするものであることが分かります。
もし、宇宙に生命が存在しなければ、時間も空間も存在しません。なぜなら生命活動に必要ないからです。
あるいは、生命が全く存在しない空っぽの時空間があったとしても、それは生命にとって存在しないに等しいので、やはり無視して構わないのです。
すなわち、事実上、生命体の意識こそが、時間と空間を生んでいるのです。
時空間を意識できる生命体が、宇宙に1体でも誕生したなら、その時点で全宇宙に時空間が与えられるのです。
ここからも、個々の生命と宇宙生命が、根本的には一体不二であることが分かります。
仏法において、1人の人間と全宇宙の価値は、等価なのです。