極真空手の大山倍達館長(当時)は、第1回世界大会の前に、
「日本人選手が優勝できなかったら、私は腹を斬る!」
そう宣言しました。
大山館長は韓国出身であり、決してナショナリストだったのではありません。
当時、海外選手の組手はまだまだ力任せであり、世界的なレベルアップのためにも、この時点で日本が負けるわけにいかないという考えだったのです。
しかし自分が試合に出るならまだしも、弟子に命まであずけるのだから、師としての壮絶な覚悟が伺えます。
大会は見事、日本人選手の上位独占で幕を閉じました。
青年を育てるには、勇気をもって一切の権限を託すことです。
いつの時代も、先輩の目に後輩は未熟に見えるものです。だからといって、実際に権限を与えてリーダーとしての場数を踏ませなければ、青年は育ちません。
また、世代によって感覚も違いますから、これは違うと思っても、口を出さずに辛抱強く見守る根気も必要です。
そのうえで、責任は全て自分が持つことです。
青年を召使のように扱いながら、実権は決して手放さないとか、失敗した時には青年に責任を押し付けて切り捨てるというのは、天魔の姿です。
青年が自由に、伸び伸びと闘える舞台を用意することが、先輩の務めなのです。