21世紀への対話より
神道は、たしかに、自然のあらゆる存在に尊厳性を認める思考から生まれた宗教です。
しかし(中略)それを裏付ける哲学的体系に欠けています。
その根底にあるものは、祖先が慣れ親しんできた自然への愛着心です。
したがって、神道にはきわめてナショナリスティックな一面があるわけです。
端的なあらわれが、いわゆる神国思想なるものでした。
神道の場合、自然に対する融和性はその一面に過ぎず、その裏面に、他民族に対する閉鎖性や排他性をもっているわけです。
この指摘は、現実の歴史を見れば明らかです。
神道には明確な教義がないため、時の為政者に都合よく利用されやすいという欠点があります。
あらゆる民族宗教は、動物的な集団崇拝が根底にあります。そのため、集団外の人々に対しては残酷にふるまう一面も持っています。
真に全人類・大自然を敬愛するには、一切衆生の尊厳を説いた仏法に帰依するしかないのです。