自分の意志で生まれてきた人はいません。
誰もが、望まずして、命という唯一絶対の宝を与えられました。
どのような境遇であろうと、まず生まれなければ、何も始まりません。
生まれてきたこと自体が勝利なのです。
さらに、勤行唱題の時などに、生まれてから起きた良い出来事を、全て思い出してみましょう。
…とても、全て思い出すことは不可能ですよね?
あなたの人生は、数えきれないほどの幸せの連続だったのです。
その現実を直視すれば、自然に人生への感謝が溢れ出るはずです。それこそが仏界です。全く自然に、全てに感謝できるようになります。人間はそのようにできています。
生まれただけで丸儲け。それに気づくことが即身成仏です。
仏法は、あくまで庶民の実生活の中にあります。
退転反逆者というのは、要するに「感謝できない」人間です。
御本尊から受けた功徳も、同志から受けた恩も、全て忘れてしまいます。
その根本は、悪いことばかりを繰り返し思い出してしまう生命の傾向にあります。
このような人間は、たとえどれほどの財産があろうとも、死の床においても、人生の嫌な記憶だけを思い出し、「生まれてこなければよかった」「俺は負け犬だ」と思い知らされながら絶望の臨終を迎えます。
日々、功徳への感謝を習慣にしてきた人は、死の床においても、人生の素晴らしい出来事ばかりを思い出し、無限の感謝の中で臨終を迎えることができます。
「死に勝利する」ことこそ、仏法第一の目的です。
それこそが一生成仏なのです。