リーダーには「経験」と「若さ」が両方求められます。
経験不足は当然リーダーとして不適格ですが、若さも同じくらい重要です。
脳は老化すると未経験の事態に対処する能力が衰えてきます。記憶力も落ち、新しいことが覚えられなくなってきます。これは、変化が激しい現代社会において致命的な弱点です。
また、体力的な衰えのために、活動が制限されることも事実です。例えば、目や頭が疲れて若いときほど活字が読めなくなります。健康問題で突然責任が果たせなくなるリスクも高まります。
何より、老人がリーダーでは、若者がついてきてくれません。
青年を糾合できるのは、青年しかいないのです。
青年リーダーが経験不足を補うには、何よりまず、経験豊かな師に学ぶことです。
政治家ならブレーン、実業家なら相談役のアドバイスを受けることです。
ただし、
最後の決断は必ず青年自身が下すことです。そうでなければリーダーではなく、ただの操り人形です。リーダーの仕事は「決める」ことなのです。
同時に、できるだけ早くリーダーとしての実務経験を積むことです。
戸田先生は、わずか26歳の池田大作青年を青年室長に任命し、学会全体の実質的な折伏戦のリーダーに選びました。なおかつ、青年室が何を決めるべきか指示を出さず、一切を青年室自身に託しました。
すなわち、
青年に学会を動かす権限は与えても、その決定については一切口を挟まなかったのです。これこそが最高の訓練です。
もちろん失敗することもあるでしょう。青年を育てるには、忍耐力と包容力が不可欠です。
また、これは青年自身にとって最も厳しい訓練です。全て自由にできる代わりに、失敗した場合、誰のせいにもできないのですから。
リーダーとしての経験を積ませなければ、リーダーは育ちません。青年は直訴してでも進んで重責を担うべきです。
事業という次元であれば、できるだけ早く独立することが望ましいでしょう。戸田先生は23歳で時習学館を設立しています。
やむを得ず、暫定的に大人がリーダーになる場合には、
リーダー自身が青年に学び、青年の声に従うことが必要です。
学ぶ力が落ちているからこそ、意識して最新の情報を学び続けることが必要なのです。それを怠れば、あっという間に「過去の人」になってしまいます。
その上で、できるだけ早く世代交代できるよう、全力で青年を育成することが最優先でしょう。
戸田先生のように、
青年に一切を託し、責任は自分が取ることです。
一、弘通の法師に於ては下輩爲りと雖も、老僧の思ひを爲すべき事。
(日興遺誡置文)